Carpe Diem
2020.02.26
Kuwasawa Design School / 卒業制作
私は自主的に「辛い心情を美しく羽ばたかせる」というコンセプトでアート作品を作ることがありました。辛いということの果てを考えた時、「死にたいほど」という例が浮かびました。そこから何を作ろうかと考えた時、「もう少し生きてみようかな」そう思ってもらえる、そんな建築をデザインしたいと思いました。
新しい墓地のあり方の提案です。
■生と死への思考
死があるからこそ生があり、この2つは紙一重で、生きることを考えることはすなわち死を考えることなのではないかという仮説が立ち上がりました。
現代の日本人は死をタブー視し、なにかと「不謹慎」という言葉を付けては生活から遠ざけ、様々な物事が進化する現代社会の中で、死の場所について考え直すことはせずに怖いというイメージのまま時を止めています。
海外を見てみると、より楽観的に死を捉え生きたことを称えるような鮮やかな葬式を行う国もあります。悲しみの背後にはタブーとして死に触れないという選択を取るのではなく、生きるという神秘を持たせるべきでは無いのだろうか。
死に対して"Memento mori"という警句があります。「人は必ず死ぬ」というこのラテン語の当時の趣旨は、"Carpe diem"「今を楽しめ」というものでした。
この言葉を作品のタイトルとし、私はビル群の中にぽっかりと忘れ去られたような青山霊園の再興プロジェクトをテーマに卒業制作を進めることにしました。
[ 敷地模型 900mm×900mm ]
1. 遺跡の住人へ
自分が死んだのならば死後墓跡に縛り付けられるのは嫌だ。では死者をどう捉えるべきであるか。そう考えた時、死者は神秘的な遺跡の住人になってほしいと、そんな気持ちが私の中に生まれました。
2. "Spece" と "Object"
アーチを元に、2つのモチーフを作成。空間を作るアーチは人間の生きる空間、象徴を表すオブジェを死者の墓石とし、敷地内に配置します。
3. スロープと生
青山霊園特有の長い道を利用し、長いスロープを作成。人の一生に見立て、入り口には生を象徴するアーチ。頂上に火葬場を配置。魂は空へ、身体は地へ。2つを繋ぐ大きな穴を通し、ドームの中を下っていきます。ドーム内は水があり、その中に死を象徴する墓石があります。
■模型全体写真
( 縮尺、会場の都合上スロープを省略。)
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